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ツヴァイク マリー・アントワネット 上巻

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フランスの旅~マリー・アントワネットで検索して来られる方が多かったので、揚げてみます^^


ツヴァイク マリー・アントワネット 上巻

ツヴァイク アントワネット


角川文庫の新訳、上下巻を読んだ。
なかなか良かった。

もう一度、映画を見たくなりました。

映画の場面は主に上巻がメインで、娯楽映画ゆえに、歴史や政治に関する描写は意図的に避けられ、豪華絢爛、ファッション、グルメに主眼が置かれ ラストは夢の終焉とシリアスな革命の始まりを暗示して幕でした。
実は、真の醍醐味は下巻にあるので、是非お薦めしたい本です。
お薦めの順序としては、映画が先、本が後、がよろしいかと思われます。
本が先だと、映画のあまりの軽さに憤死する恐れが・・・(笑)

書籍では、ツヴァイクならではの、機知に富んだ鋭い警句、無駄のない緊張感に満ちた表現がちりばめられており、さすが名著の誉れ高い理由が頷けます。



可愛い少女の時代から38歳で断頭台の露と消えるまで沢山の肖像画を残している
少女の時代から



じっさい、ツヴァイクのマリー・アントワネットは幾多の作家や俳優達を啓発している。
池田理代子さんはこのツヴァイクのマリーを読んでベルサイユのばらを描く構想をわきたたせたといいます。
しかも、「ばかな女のなかでも最も愚かな女、でも気になって仕方ない可愛くて仕方ない女の話を描きたかった、と言っています。

振り返れば少女のうちは、英雄的でカッコいいオスカルやアンドレにばかり目がいっていましたが、おとなになってはじめてわかる、アントワネットの心の行き場のなさ、寂しさ、愛を求めてやまないこころ。
昔読んだときはあんなに彼女はだらしなく汚ならしいと思っていたのが嘘のように、彼女が哀れに思えてなりませんでした。ハプスブルグ家に生まれた女性としての運命の悲しさ、氷のような宮殿の凍て付くような孤独。

ベルサイユのばらにも登場した下のプチ・トリアノン宮の写真は、彼女が奏でたであろうハープの間。
ハープとクラブサンの空虚な調べのなか、ただただときがすぎゆくのを彼女はうつろにながめていたのではないでしょうか。
ロココの愛らしく優美な装飾に輝く館。しかし、観光客が去ると、陰気な沈黙が支配する、主のいない空虚な部屋。音楽は絶えて、もうニ度と笑いさざめく風景が甦ることはないでしょう。あまりにも寂しい栄華の抜け殻...プチ・トリアノン。



※写真はプチ・トリアノン宮の一室
プチトリアノン 個室


いまの皇室(王室)に嫁いだ妃たちのように堂々と心の病を訴えることすらできず、彼女が彼女としてなんとか生きて行くために残された道は、なにかに溺れるか、唯一愛し、愛されることだったのではないかと思います。彼女が最も人間らしく生きるために、ギリギリの精神状態を保つために・・・。

でも、この時代に死ねた人間はまだしあわせであった気がします。このあと吹き荒れる革命と血の粛清、ナポレオンの台頭から失脚、王政復古の時代までの長い冬の嵐のような混迷の時代を生き抜くことは、王族、大貴族にとってはこと更に厳しい時代であったと思われます。王の従妹や兄弟にあたるオルレアン公、プロバンス伯のような由緒ある貴族の足跡を辿れば、狡猾な彼らでも相当危ない綱渡りをして生き延びているのがわかります。

著者ツヴァイクは、王弟オルレアン公とプロバンス伯に対しては、かなり手厳しく断罪しています。おそらくオーストリア・ナチス政権の中で、世渡りに通じ変節しながら生き延びる人間たちの像が重なっているのかなと思いました。



映画より カルタ賭博に興じるようになるアントワネット
映画より カルタ賭博に興じるようになるアントワネット




同じくフランス革命を背景にした題材として、逆に、英雄として 詩人として断頭台の露と散ったアンドレア・シェニエは時代の華だったなあ、と思います。

ジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」オペラのほうが有名ですが、ドラマチックな作品です。
恋人マッダレーナが女死刑囚の身代わりとなって、自ら愛する詩人と共に処刑されていくラストシーンには泣かされます。

さらにフランス革命の恐怖政治の時代を背景としたオペラには、プーランクの「カルメル会の修道女の対話」がありました。
修道院も旧体制の象徴とされたがゆえ、最も厳格な戒律で知られ、革命に対する非宣誓派と睨まれて ギロチンに散った16人の殉教尼僧たちの物語。
一度観る機会があり、静かな感動の余韻が残った珠玉の作品でした。


Franco CORELLI. Come un bel dì di maggio. Andrea Chenier

シェニエのアリア「五月の晴れた日のように」 円熟期のコレッリの艶やかな声に萌えますね


以下、本(上巻)の印象的なフレーズを抜粋してみました。

◆ルイ16世は20年間、誇りも喜びも威厳もないまま、無造作に王冠をかぶり続けていた。

◆マリー・アントワネットの王妃としての20年間は、自己の周りを回る動きでしかなく、内にも外にも、人間的にも政治的にも、完全な空虚のままだった。

◆彼女の「活発なる倦怠」は金の独楽のごとくクルクル廻る。あらゆる悪魔のうちで最も愚かしい悪魔 ー快楽の悪魔ー が閉じ込めたこのペンタグラムから、外へ出たいと願ったことはなかった。

◆18世紀のモラルとは、感覚のままに生き、考えないこと。

◆外交官というものは、簡単な問題をこじらせ、重要な問題を先送りすることに誇りをもってこそ、一人前と言える。

◆オルレアン公、非創造的な性格にありがちな弱点を抱えていた。つまり体裁を気にする虚栄心だ。 プロヴァンス伯、後のルイ18世。沈黙の黒いモグラである彼は、地下にいくつも穴を掘り、兄の地位が足元から崩れるのを待っていた。

◆マリー・アントワネットは認識の木の実の苦さを味わい、夢を浮遊していたような自信をすでに失っている。

◆ただひとり愛し、ただひとり愛されたこの恋人フェルゼンは、自ら決然と、マリーアントワネットに寄り添い、それによって歴史の中へ躍り出たのである。


下巻の感想はまたいずれ。


マリー・アントワネット(ヴィジェ=ルブラン画、1783年)
ルブラン著
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